八丈島の日没

 

大好きなT叔父が癌で亡くなり、授業を代わってくれる同僚を探して、東京でのお通夜と葬儀に行ってきました。T叔父は母の一番下の弟で、私たち10人の甥や姪にとっては世の中の規範を超えてみせてくれる自由で朗らかな人でした。東京都の水族館や動物園に勤めるなかで八丈島の水産試験場にいた夏には、独身だった叔父の宿舎にいとこたちと遊びに行き、アカウミガメが泳ぐ海に潜ったり、八丈富士に登ったり、岬で絵を描いたり、農家へ一升瓶をもって牛乳を買いに行ったり「人生最高の夏」を過ごしました。内緒ですがお酒の飲み方も、魚の捌き方も(トビウオのおつくりを毎日食べていたよね)教えてもらいました。人生を楽しんで生きていくことを叔父から教わりました。

 近年は秩父のお寺を巡礼し好きなスケッチをしていたそうです。その絵がだんだん上手になっていったことに驚き、突然途切れたことに深い悲しみを感じました。生前から親しくしていただいていたというお坊さんが富山からきてくださり、新宿高校硬式野球部や不忍ACの走る仲間などたくさんの方々と野辺の送りをしました。 ハンカチが濡れそぼり妹に借りるほど泣きました。自慢の叔父に深く感謝して。